才能中毒
私は才能中毒だ。
私以外の人間はあまり見向きもしないけれど、私にとっては必要な才能。
その出会いが私を奮い立たせて来た。
けれど、やがて世間は皆、気がつく。その才能が実は世に出て当然の才能であることに。
チャンスを掴んだ才能は、私のもとから飛び立って行く。
人の才能を利用して、自分の作品を作ろうなんて、ふてえやつだ、というコンプレックスが、私の心の奥底にある。才能ってヤツは、私のそこをチクチクつつき、時にはグサリとナイフを突き立て、去って行く。
私にはわかっているの。つまり、ヤツらはただ、チャンスを掴みたいだけなのだ。
ナイフを突き立てられた私は、だらだらと血を流しながら旅を続け、やがてはまた、別の才能に出会う。 そしてまた、ナイフを突き立てられる。
あんた、Mか?????
そうよ、悪い??? プロデューサーなんて、そうでなければやってけないわ。
周りからみれば、いつも私は都合のいい人間でしかないだろう。
誰にもわからない空しさを抱えつつ、残された作品と向き合うことになる。
残していった作品と向き合うことは、空しさの中で自分の傷口に塩を塗りこむ作業だ。
果たしてこれでいいのか?
愛と憎しみが、私の中で渦巻いている。
私という人間は。